夕顔事件の後始末

物騒なタイトルですが。
源氏物語を、単なるロマンチックストーリーとお感じの方には、ここできちんと説明をしておかなくてはなりません。

前回、夕顔の女は、光源氏に連れて行かれた廃院で、生霊にとり殺されると書きました。

…これ、不審死です。

事件ですよ!!


まず、光源氏はこの頃はまだ桐壺帝の愛息子。世間の注目を一身に集める存在です。

それが何とも曰くありげな(実際曰く付き)な、身分の低い女と関係を持って、挙句女が不審な死を遂げている。

当時、東スポや文春があったら…と思うと、ゾッとします(笑)


恐怖と混乱で動転している光源氏の元に、乳母子の惟光が駆けつけて、遺体の処理を引き受けます。
兄に僧侶がいるから、何とかする。だから、光源氏は屋敷に戻って下さいと。
乳母子ですから、ほぼ同い年。17歳位ですね。惟光、頑張りました。

この辺はかなりリアルな感じです。

光源氏はもう生きた心地もしない。
混乱の果てに病の床に臥します。

当時、すでに火葬の風習はありましたが、すぐには焼かない。少し待っていたら生き還るかもしれないから。という思想です。

光源氏は、彼女がもし生き還ったら、その時に自分が側に居なくて悲しむんじゃないか、と、まで考えます。

そこで光源氏は、這うようにして馬に乗り、彼女の遺体が安置されている、河原へやって来て、遺体と対面を果たすのです。

死の穢れという概念があり、死人に接触した場合などは、宮中に出仕も出来ません。


本当の事は言えませんから、「何で出仕しない?」という各方面からの圧を、上手く言い逃れはしますが、光源氏は本格的に寝付いてしまい生死の境をさまよいます。

そしてしばらくして一命を取り留め、
無事に復活する。
↑これが、全ての厄落としという意味を含むのです。物語のある種のパターンです。

この流れの中でも、何か凶々しい気配のものに、廃院を支配されて、全く助けを呼ぶ事も出来ない恐ろしい場面や、夕顔の遺体を運び出して牛車に乗せる場面などなど。
本格的なミステリーやホラーの感が満載で、とてもハラハラします。

それに伴う光源氏の心理描写も見事です。

ぜひ、悲恋物としての「夕顔」でない一面を読んで、楽しんで頂きたいなぁと願っています。









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