浮舟 紫式部からのメッセージ

源氏物語五十四帖の、最後に登場するのは、
浮舟という女性です。

浮舟は、宇治十帖という現代では番外編扱いのお話の中に、本当に最後に登場します。

浮舟は最初、何も持たないで登場します。
父親である八の宮の過去の恋人であった女房が産んだ、認めたくない娘。身分も低い。

大君という腹違いの姉に、容姿がよく似た彼女は、物語の中で亡くなってしまう大君の身代わりとして薫に愛され、後に匂宮と薫に取り合いされる三角関係に陥ります。

彼女は2人の男の間を流され、どちらを選ぶ事も出来ず、優柔不断で、自ら決める力が、自分にはないのだと思い詰め、ある日、宇治川に身を投げてしまいます。

横川の僧都に助けられて、一命をとりとめた彼女は、それから自分の人生を自分の意思で決める女性へと変わって行きます。

彼女は出家し、元の人生を捨てて、どちらの男も選ばないと決めるのです。

しかし物語は、彼女を探し回り、還俗させて元の場所に連れ戻そうと画策する人々の中で、彼女が抵抗する様子を描いて終わります。

ーーーわたしは、浮舟は紫式部が描こうとした女性の集大成だと思っています。

何も選べない、諦めた人生を送る女から、
無理と分かっていても、自分の人生を選び、切り拓こうとする女へ、
平安時代の一人の平凡な女性が変化する様子は、見事としか言いようがありません。

現代以上に女性が生きるのが厳しかった時代に、こんなメッセージを書いた紫式部。


源氏物語には本当に大勢の女性が登場し、全て書き分けられています。
一人として同じ個性の女性はいない。

その最後の最後に、浮舟という女性を描き切った。これが全て。

その事を感じると、胸が熱くなります。

わたしは、宇治十帖まで、誰かと分かち合いながら読んで行きたいと願いつつ、読書会を開いているのです。

この物語は、必ず誰かの助けになるはず。
そう信じています。









源氏物語を原文で読む会

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